立春は過ぎましたが、まだ寒い日が続いています。

 

 昔の人は、季節を先取りしたい気持ちがあり、雨水、啓蟄、立春など、一年を二十四節季に分けたと想います。春はそこまで来ていますが、3月の別れの季節も近づいています。年長児にとって、最後の1ヶ月を大切に過ごしたいと想っています。

 

 さて連日、千葉県野田市での児童虐待事件が報道され、酷い親、無責任な児童相談所及び教育委員会の対応に憤りを感じています。新聞やテレビ、そして総理大臣も「今まで以上に、子どもを社会全体で育てる仕組みを構築しなければならない」と語っています。私もそのように想います。しかし、難病を患った子どもの親は、自分の臓器を提供しても、子どもの命を延ばしたいと考えています。

 

 卓球の福原愛、スキージャンプの高梨沙羅、囲碁の仲邑すみれなどは、社会だけに頼っていたのでは、能力は発揮できなかったでしょう。

 

 親の愛護があってこそ出来た偉業です。
 親の愛は、社会が考える以上に深いのです。

 

 ですから、私なら「先ず、両親の愛護の中で子どもを育ててください」「そして、同時並行として、子どもを社会全体で支える仕組みを構築します」と、メディアに向かって発言します。しかし、社会は「両親の愛護」と言えない状況にしてしまったのです。  

 

 「両親」という言葉を使えば、「両親のいない子ども」のことを考慮していない。「男」「女」という言葉を使えば「Xジェンダー」のことを考慮していない。とメディアが発言するようになったのも、ひとつの要因なのかも知れません。個人の権利が強くなり、思想・信条の自由、プライバシー保護、外国人受け容れがあり、このような中で「社会全体の奉仕者である公務員」は、難しい立場に追い込まれています。特に、現場を預かる小学校の先生が、社会の縮図に飲み込まれています。

 

 私は現在、船橋市立峰台小学校と飯山満南小学校の学校評議員を、10年以上お引き受けしています。10年前は、小学校に入学する子どもの出身幼稚園や保育所は、それほど多くありませんでした。しかし現在、船橋市内には100を超える保育所があり、他の市町村からの転入もあり、入学前の子どもの事前調査に時間がかかるようになっています。

 

 ちなみに、保育所・保育園は私立であっても経営者は船橋市です。各市町村の保育課と教育委員会が連携をとれば、小学校が慌てることはないのですが、個人情報保護などの問題があり連携が上手に取れていません。ですから、今回の野田市の児童虐待事件は、巧妙な両親の策略に気づきながらも、忙しさと、虐待する父親の脅しなどで見逃してしまったのです。

 

 また、現代社会は、「真実が言い難い世の中」になっています。個人権利の増大、表現の自由、ネット社会の情報過多にあります。上記の3つは、一般的には好ましいことです。しかし、悪用する人にとっても、都合の良い社会になっているのです。すると、社会の仕組みを知らない子どもを育てるには、「両親の愛護の中で育てることが、子どもにとって一番幸せなこと」を知ったうえで、小学校へ送り出して欲しいと想います。

 

 卒園・進級まで、あと僅かになりました。ケガや交通事故に気をつけて、楽しい年度末、年度初めにして欲しいと想っています。

 暖冬と言われていましたが、いつもの年と同じような寒さになり、インフルエンザ対応に気を遣う毎日となりました。その中、寒風吹く季節に、山茶花の赤色の花が心を温かくしています。  

 

 私は、子どもの頃「たき火」の歌を歌いました。「さざんか、さざんか咲いた道、たき火だ、たき火だ、落ち葉焚き、あたろうか あたろうよ しもやけ おててが もうかゆい」時代に合わない歌になりましたが、情緒ある歌であり、歌い継がれて欲しいと想っています。

 

 さて今、2020年東京オリンピックに夢が膨らんでいますが、その20年後、社会保障2040年が問題になっています。

 

 現役1.5人が高齢者1人を支える困難の乗り切り方(1人が1人を支える肩車)が問われています。現在の幼稚園児の20年後は、20歳代の若者となり、前途有望な働き手として嘱望されていると想いますが、中央大学教授・宮本太郎氏は、日本経済研究センター発行の記事で、20年後に価値ある働き手を確保するためには、「良質な就学前教育」が大切としています。

 

 そこで、「良質な就学前教育」とは何を言うのでしょうか。

 

 記事を書いた宮本太郎氏でも、新聞を読んでも抽象的な話しばかりです。子どもの気持ちを知らない人たちが、幼児教育を語っています。私は、良質な就学前教育とは、「幼児の心の安定を図る」ことと想っています。例えば、当園の特徴のひとつに「親子クッキング教室」があります。子どもたちが、母親(時には父親も参加しています)と一緒に、クッキングに夢中になっている姿をみると、子どもも母親も眼が輝いています。料理が完成し、会食しているときの嬉しそうな顔をみると、このような施設を作って良かったと想います。親子クッキング教室に参加する親子から「温かな家庭」が感じられます。北海道の冬は厳しい寒さですが、家の中は暖かいと言われています。暖かい家、温かい家庭があるから、寒い戸外へ出る気持ちが生まれるのです。

 

 子どもたちは、甘えたい心と頑張りたい心の両方を持っています。

 

 「頑張れ」だけでは、いつかは疲労困憊となり頑張りは続きません。ですから、幼児期は心の安定を図るために、甘えたい気持ちを満足させることも大切なのです。

 

 2月は作品展を行います。10年以上前から、体育館に親子共同作品を展示しています。作品を作った子どもたちからは、「お父さんと一緒に作って、一緒に遊んだ」と話す子どもの眼は輝いています。

 

 国家が示す「良質な幼児教育」では、子育ては保育士がすることになっていますが、家族愛の思い出がない子どもが、社会保障2040年問題を乗り切るでしょうか。子どもと一緒に歌を歌い、一緒に物づくりをして、一緒に食べ物を作って、一緒に食べる。この経験を沢山することが「良質な就学前教育」なのです。

 

 別紙にて、金子みすゞ記念館館長・矢崎節夫氏の記事『「こだま」それは人間の最も美しい行為』を添付します。東日本大震災後、繰り返しCMとして流れた金子みすゞさんの詩「こだまでしょうか」です。この詩も語り継がれて欲しいと想っています。

 

 今年も、大勢のご家庭から「親子共同作品の出展」をお願いします。寒さ厳しくなっています。体調を整えて登園していただくよう、合わせてお願いします。

 

(別紙)リンク:金子みすゞ記念館館長・矢崎節夫氏の記事

 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 

 さて、今から4年前の平成26年、園舎を建て替える前に、以前の園庭の面影を残したいと想い、夏ミカンの木を第2グランドへ移しました。枯れてもやむを得ない気持ちで、業者に植え替えていただきました。その夏ミカンの木に、今年は数多くの大きな実が成っています。あの甘酸っぱい味の夏ミカンを、再び食べられると想うと嬉しさがこみ上げてきます。

 

 昭和の時代から園庭にあった樹木の復活は、しんめい幼稚園50年の歴史の中で嬉しい出来事です。今年は元号が変わりますが、時代が変化しても、しんめい幼稚園は変わらない幼児教育を求めて行きたいと想っています。

 

 昨年暮れ、将棋界で羽生善治名人が無冠になってしまいました。一時、将棋界ではタイトルを独占していた人です。紅白歌合戦でも、北島三郎の時代が終わり、サザンオールスターズも紅白を超えた伝説のグループに変わろうとしています。その替わり、昨年はマラソン界で、大迫傑選手が2時間5分50秒の日本記録を出しています。今後も記録を伸ばし、若い人たちがベテランを追い越し、新しい時代を作っていくに違いありません。

 

 「平成の次の時代」になると、入れ替わりがもっと激しくなるのでしょうか。2020年東京オリンピックでは、ベテランは存在しないのでしょうか。 そんなときに思い出すのは、昭和33年に建設された東京タワーです。スカイツリーが完成し電波塔の役目は終了していますが、当時の職人技術は今でも語り継がれています。

 

 私も東京タワーの建設に携わった職人からも直接話を聞いていますが、今では、当時の技術を持つ職人は存在しないと言われています。例えば、「玉掛け」「もやい結び」など、物を吊り上げたり、結んだりする技法があります。現在では国家試験科目になっていますが、これらの技法は江戸時代以前から建築などで受け継がれている技法です。すると、新しい時代に必要な人とは、新しい技法、古い技法の両方を知る人なのです。世の中も、若者とベテランが上手に交流することで、社会が発展しています。  

 

 そう考えると、幼児教育は新しい技術を指導する年齢ではありません。古くとも大切に受け継がれていることを指導すべきです。共同で物事を作り上げる喜びを体験させるべきです。日本の文化を指導すべきです。ですから、体力をつけ、道具を使う技術、相手の気持ちを思いやること、表現力・日本語での語彙力つけ、多少の我慢も指導しなければなりません。しんめい幼稚園は、開園以来この教育方針を貫いています。

 

 この50年間でも日本の技術は日進月歩です。それに従い、文科省は幼稚園教育要領も時代に合わせた変化が必要としています。しかし、私は「幼児教育には変えてはいけないものがある」と想っています。

 

 しんめい幼稚園の考える幼児教育の基本は変わりません。


 子どもの知力・能力・体力に合った「基礎経験」「他人の意見を聞き入れる耳」「人を敬う心」を養うことが必要と想っています。しんめい幼稚園は、昭和・平成の良さを残しながら、次の時代に対応できる人づくりをしたいと想っています。