明けましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。

 

 暖冬とはいえ、時折吹く北風には身に染みる寒さを感じます。 3学期も、風邪やインフルエンザに注意して、楽しい幼稚園生活を過ごしたいと思っています。 また、今年は東京オリンピックがある年になりました。 感動のオリンピックを期待していますが、それを呼び起こすのは、選手の努力と、それを支えるコーチ、そして、選手の両親と思っています。 私が子どもの頃に見た感動が、再現されるかと想うと、今から胸がワクワクします。是非、現在の子どもたちにも感動を与えて欲しいと思っています。

 

 さて、冬休み中に、『「頭がいい」の正体は読解力』(樋口裕一著・幻冬舎新書)を読んでみました。そして、その本の中に「飼育と教育」「有用性と至高生」についての記述がありました。 教育とは「自主的に自分が何かになりたいために身につける知識や経験」。 飼育とは「自分から成りたいと思わないのに、仕立てられること」。 有用性とは「役に立つこと」。 至高性とは「役に立たなくとも価値があること」。として、それぞれの理論を比較し、読解力を養うとともに一石を投じています。 この本には、幼児教育についての記述はありませんが、幼児教育は基本的生活習慣を身につけることも大切なため、「自主性」を育てる一方で、やりたくなくとも、やらなければならないことが数多くあります。 清潔を保つ、安全な生活をする、偏食をなくすなどは、自主性だけではできないこともあります。 ですから、幼いときの生活には、強制して行わなければならないことがあるのも事実です。

 

 このように考えると、現在の幼児教育は「自由と有用性」が目立っています。間違っている訳ではありませんが、幼児教育は母国の文化を指導し、至高性を高める必要があると思っています。 また、両親も子どもの至高性を高めることに努力することで、「子育ての喜びを知る」機会にもなると思っています。

 

 発表会で素晴らしい演技を披露しても、俳優や女優になる子どもが何人いるでしょうか。 楽器を演奏しても、音楽家になるために練習している訳ではありません。 折り紙をしても、大学受験に役立つことはありません。 そう思うと、幼児教育とは、至高性を養うことが大切です。 有用性を緩めることで、芸術性が養われ、優しさを導き、友だちと一緒に活動する喜びを知っていくのです。

 

 オリンピック選手を目指した子どもの家族は、子育てが楽しかったに違いありません。両親は、子どもの長所を見つけ、その才能を伸ばすための環境作りを続けた人です。 たとえ、メダルを獲得できなくとも、オリンピックに参加しただけで両親は「嬉し涙」を流すと思います。 しかし、国家が勧める幼児教育は「子育ての喜びを知る」政策ではないようです。 老人が増えるから、世界の競争に勝つために、有用性のある子どもを求めているようですが、少子化が予想以上に進んでいます。 本当に子どもを増やしたいのなら、「人生を楽しめる子」「人生を楽しめる家庭」を作る必要があります。

 

 オリンピック選手を子どもに持つ両親は、有用性を追求したのではありません。至高性を追求したのです。 人間の価値は、生産性によって決まるのではありません。 仕事によって、どれほど生産したかではなく、その人がどれほど愛されたか、どれほど自分らしく生きたかに価値があるのです。 このような意味では、オリンピック選手は、自身の固い意志により練習を重ね、有用性に拘ることなく信念を貫いた立派な人間ではないでしょうか。 また、それを幼いときから支えていた両親に敬意を表します。

 

 今、子育てに夢がなくなり、「大変だから社会がする」が先行しています。 これでは子どもは増えないのです。 今、日本に必要なのは、日本文化の追求と至高性を求めることです。 具体的には、オリンピック選手育成などの体力強化、及び、芸術の発展こそ、少子化を乗り切る得策です。 たとえ、オリンピック選手になれなくとも、それを応援する両親が子どもたちを元気にするのです。

 

 ですから、当園は今後も「造形・音楽・体育」を重点に指導していきたいと思っています。

 令和元年2学期は、時代の転換と思える出来事がありました。

 

 一番は、新しい天皇陛下が即位を宣言されたことでした。「象徴」という立場から国民を見守っていただきたいと想います。 10月22日は雨模様でしたが、即位正殿の儀が開始されると雨が止み、空に虹が出て、新しい時代の幕開けを感じました。

 次に注目が集まったのは、ラグビーワールドカップの日本開催でした。 日本チームがベスト8に進めたのは、選手たちの日々の努力あっての賜物ですが、「ワンチーム」を掲げ、観客やテレビ観戦者も巻き込んだ応援が効果を発揮したようです。 是非、この流れで2020東京オリンピックの成功を導いて欲しいと想います。

 その他、吉野彰さんがリチウム電池開発でノーベル科学賞を受賞したことは、栄えある出来事でした。

 

 幼児教育に携わる者として、大きく変化したのは幼児教育無償化です。

 

 政府は、消費税を10%にする理由のひとつに、幼児教育無償化を掲げていましたが、教育政策というより、内閣府が行う「福祉政策」であることが判りました。 福祉とは、運営の大部分を補助金で賄うことになり、率直に表現すると「国家主導で幼児教育を行う」ことを意味しています。 特に、家庭で過ごす0歳〜2歳児を「親から引き離す」ことが「有利」になるような政策です。 幼い子は、知識や社会性を身につける前に「家族の愛情」を知るべきと想っています。

 

 それにしても、今年の自然災害は「千葉県が狙われた」と想うほどでした。 次々と台風や大雨が千葉県を襲い、どの台風のときの被害だったかが、判らなくなるほどです。 当園も第3グランドのフェンスが倒壊する被害がありましたが、園児たちに影響がなかったことに安堵しています。

 

 地球温暖化を考えると、このような暴雨風は、毎年あっても不思議ではなくなってしまったようです。 スウェーデンの高校生グレタさんは、現在の「地球温暖化防止対策」はウソに見えると国連で嘆いています。 日本近海の海底6,000mには、30数年前のプラスチックゴミが堆積していることも判りました。 縄文時代から続く日本の歴史が、現代人の便利を求める生活の中で、崩れてゆくことに、不安が大きくなっています。

 

 「借金大国」なのに、まして「桜を見る会」で浮かれているときはではないのに、子どもたちのことを考え、日本人としての「ワンチーム」が求められているのではないでしょうか。 ですから、今必要なのは「働き方改革」ではなく「歩き方改革」です。 ひとりなら「自分のペース」で歩けますが、夫婦ならば「二人のペース」、子どもがいれば「家族のペース」で歩くことが「ワンチーム」の原点です。 世界が「ワンチーム」になることが求められていますが、アフガニスタンで人道支援の医師中村哲さんが殺害されてしまいました。 世界が「ワンチーム」になることが難しいならば、少なくとも「家族はワンチーム」を、子どもたちに教えたいと想って止まない昨今です。

 発表会の余韻を感じる学期末です。 園庭で遊ぶ子どもたちを見ていても、発表会の前と後では、素早さが違い、声のトーンが弾んでいるように聞こえます。 クラスが一丸で取り組み、劇・遊戯・合奏・合唱を作り上げたことが自信を導き、その後の行動に変化をもたらしています。 父母様が嬉し涙を流し、そして、それを見た子どもたちは、家族の中で「自分が主役」になっていることを感じたのではないでしょうか。

 

 2学期を振り返ると、感動を与えた出来事は発表会だけではなく、9月の残暑の中での運動会練習もありました。

 

 「運動会」という日本独自の文化は、「ワンチーム」を作るのにふさわしい活動にもなりました。 徒競走やリレーでは、競い合いながら相手を賞賛することを覚えました。親子競技では親子の愛情を確認しました。マーチングや遊戯ではチームの一員として立派に行動していることを父母様に示しました。

 

 当園の開園当時の教育目標には「繰り返してこそものになる」がありました。 時代が変化し、同じことを繰り返すのは「ロボットの仕事」として扱われるようになりましたが、オリンピック選手は、同じことを繰り返し練習することで、技を磨き、人に感動を与えています。 すると、ロボットが行う「単純に繰り返す」ことと、人間が行う「考えながら繰り返す」ことでは、全く意味が異なります。

 

 昨今、AIの普及とともに無くなる職業が話題になっていますが、ロボットと同じ次元に人間を置くから迷ってしまうのです。 早期教育として、子どもにパソコンを教え、外国語を教えても、最終的にはロボットに追い越されてしまうでしょう。 ロボットが100メートル競走で新記録を出しても何の感動もありません。 幼児教育とは、当園が主張する「優しい子・元気な子・考える子」を育成することです。 人間生活の原点である「人間関係の構築」が大切です。「造形・音楽・体育」を通して、最終的には「文化を創る子」を育てることなのです。

 

 そんな意味では、令和元年度2学期は価値ある幼児教育ができました。

 特に、11/30と12/1に実施した発表会にその成果がありました。その中でも、年長が歌う「心の花」は手話が交わり、目頭が熱くなる場面でした。 今後も、子どもたちを沢山褒め、子どもたちから元気と感動をもらってください。

 

 その他2学期は、梨狩り遠足、どんぐり拾い遠足、さつまいも掘り、大根抜き、焼きいも大会、チューリップ栽培など、秋を感じる教育活動が満載でした。 11月の「お店やさんごっこ遊び」も、作って楽しい、売って楽しい、買って楽しい活動になりました。 また、正課体育指導、リトミックがあり充実した日々がありました。 年長は、科学遊び、茶道、囲碁などを行い、色々なことを体験することで、友だちとの会話、家庭の会話が増え、日本文化を知り、成長に比例して、語彙を増やしています。

 

 幼児教育とは、子どもの成長を促すだけではなく、子どもと関わることで、感動することの素晴らしさを両親も味わい、親子共々成長することを指しているのです。 これからの冬休み、3学期、次年度、そして、いつまでも、子育てすることの喜びを、親として感じて欲しいと想っています。